October 03, 2009

生命情報学における情報視覚化の事例と課題

生命科学分野・ゲノムデータの可視化技術についての紹介記事が情報処理学会会誌に掲載されていた.情報視覚化に興味のある方は一読をお勧め。

生命情報学が直面する大規模ゲノムデータ時代の課題: 4.生命科学分野・ゲノムデータの可視化技術 - 会誌「情報処理」Vol.50, No.9 西村邦裕著

記事の最後にある壁面型ディスプレイを利用したゲノム情報の可視化については、「それってただ単に大きなディスプレイに表示しただけなのでは?」 と思われる方もおられると思うが、大規模情報に大量の情報を視覚化すると、最近の大画面ディスプレイの解像度(例えば、1920x1200 pixel)でも、視覚化したい情報が1 pixel未満になってしまい、描画したい情報が詳細に表示できないというジレンマがあるということを、原子/分子に関するシミュレーションを研究されている方から伺ったことがある。

もちろん、clusteringや階層化、zoomingなどによる対話手法などによる改善への模索もあるだろうが、やはりこういった分野では、まず描画できる情報については描画してみてみたいという要望が強いらしく、cluster displayと勝手に当方は言っているが、複数のディスプレイ(とはいって、計算機一台にディスプレイ2,3台とかではなく、ディスプレイを4x4のgrid状に組み、物理的に解像度を増やして情報を提示するという手法がよいらしいという話を聞いた。すると机上ではなく、ディスプレイは壁面に構築する必要があり(というか、そうせざるを得ない)、そうするとキーボードとマウスでも良いのだが、それとは別にもっとよい対話手法があるといいな〜という流れになるそうである。

なるほど、場所が変われば要望もこうも違うものなんだなとあらためて実感したという経験がある。

Posted by z at 03:45 PM