October 17, 2004

A Framework for Personalizing Action History Viewer

Masaki Ito, Jin Nakazawa and Hideyuki Tokuda,
"A Framework for Personalizing Action History Viewer",
Pervasive 2004 Workshop on Memory and Sharing of Experiences, April 2004.
Pervasive 2004 workshop on Memory and Sharing of Experiences

個人の行動履歴を見るためのツールだが、主眼はProgramable = Personalizingが可能なFrameworkであるという点にある(論文の題名通り).行動解析と視覚化のためのシステムを視覚的プログラミングのようにコンポーネントをつなげるだけで作成でき、またそのコンポーネントを自作することも可能になっている点が特徴である.このFrameworkは mPath Frameworkと言うそうだ.

でも? 根本的な着目点は、やはり個人の行動記録をどうやって扱いやすくするかというinterface的な発想から来ていると読み取った.「ユビキタスな環境になり、人の行動が様々なセンサーで記録できるようになると、後にそれを思い出したり、他人と共有したりするのに行動記録を視覚化できる枠組みを用意することが大事である」という点から始まっており,想定されるシナリオとしても旅行先の記録を用いたストーリが展開されているからである.で、その際に必要となるデータの解析方法や視覚化手法は、人によって異なるだろうからPersonalizeできる枠組みが必要だろうということで、この研究が行われたということである.

他にも類似したシステムはあるようだが、研究の目的としては

- Navigation目的
- 行動履歴のindex化

で、システムの目的が特化しており,カスタマイズは不可能である.
時間-位置の2軸で人間の行動履歴を見せるシステムもあるが、他の情報(たとえば写真)を組み合わせて扱えない.
またNavigation目的で写真も扱えるようなシステムもあるようだが、それは解析方法に多様性がない.
ということで本研究の方がより柔軟で多様なシステムであることが売りだとのことである.
このような行動履歴閲覧システムは、解析、想起、履歴に関する説明(おしゃべり)や報告が簡単にできるようなシステムでなくてはならず、またPersonalizeできることが必要であると述べている.

mPathと呼ばれるVisual Programmingの環境は一見して面白いが、既存のVisual Programmingと比較してどうという代物ではないようように見受けられる.コンセプトもシンプルなData-flowに基づいたもののようである.あとはユーザが自身のコンポーネントを作るのがどのくらい簡単なのか? という点は興味があるが,それがわかったところで、エンドユーザは作らないだろう.でも可能であるという点は評価に値すると思う.

視覚的表現については、

- Normal Map Viewer
- Table Viewer
- Weight Map

である.しかし視覚的に見て面白そうに見えるのは3番目のWeight Mapだけであり、前者の2つはごく普通である.問題はこれ以外の視覚化方法の提案にあると思うのだが,それについては述べられていない.

また行動履歴の解析方法は一通り網羅されており、Visual-Programmingを使って簡単に解析方法を変更しながらデータ解析ができる点は良さそうである.解析コンポーネントをFilterと読んでいるようだが,このFilterには、

- Time Filter:
期間に基づくデータ抽出
- Speed Filter:
速度に基づくデータ抽出、乗り物に乗っていた時などが抽出できる
- Formalized Filter:
移動と停止という観点で、あるしきい値に基づいて分類する.結果としてpathが得られる
- Matching Filter:
2つの入力を取り、1つは移動時の位置情報群で、もう1つは位置座標である.これは指定された位置情報に基づきデータを抽出する.
- Count Filter:
位置情報を基に、格子状に位置情報を領域化した上で、その領域に何回存在していたかを数え上げるものである

という処理が存在する。これらを自由に組み合わせて解析ができるのは面白いに違いないと思ったり.

データとしてはGPSを使った移動情報とEXIF情報付きの写真であり、この点はLiving Mapとなんら変わらないと見受けられる.ただし、こちらのシステムでは単に表示のためだけでなく、データ解析目的でも地図情報を使用しているという点は、差異になるのかな?

Posted by z at 11:51 PM

October 09, 2004

The Re: living Map - an effective experience with GPS tracking and photographs

Yoshimura Niwa, Takafumi Iwai, Yuichiro Haraguchi, Masa Inakage,
"The Re: living Map - an effective experience with GPS tracking and photographs",
Pervasive 2004 Workshop on Memory and Sharing of Experiences, April 2004.
Pervasive 2004 Workshop on Memory and Sharing of Experiences

GPSと写真を使った、日々の生活記録とその共有に関するシステムを提案している論文である.
利用法としては、携帯電話で好きな時に写真を撮りつつ、ユーザの行動をGPSで記録し続け、その記録を家で再体験(追体験)するというものである.

GPS & カメラ付き携帯の普及は、いつでも位置情報が取得でき、かつ映像を保存することを可能にした.これらを利用して、新たな観点から街中での経験を追(再)体験可能にするアプリケーションを提案するとしている.また本システムはgpsfredというGPSの記録とその活用を可能にするmiddlewareに特徴があるとも述べている.

このアプリケーションはPackaging, Reliving and Sharingの3つの作業(段階)からなる.

- Packagingとは、ユーザの体験を記録するため、町中で写真を撮り、それをGPSの記録とあわせて保存することである.この作業段階ではGPSによる記録を常に有効にしておき、ユーザの移動軌跡を時間とあわせて記録しておく.またユーザは好きな時に写真を撮ることができる.この行為は、ユーザが強い興味を惹かれたものがあったということを意味する.GPSの記録は連続的であり、時間と位置という情報の組でユーザの行動を記録する.このように(時間- 位置) + 写真という形でユーザの経験を共有のためにpackagingする.

- Relivingは、家に帰ったら、これまでの体験を追体験すること(できるようにすること)である
Re: Living Mapでは単に静止画が提供する以上の豊かな表現方法を可能にしている.それは写真が記録されている時間毎の間隔に基づいて写真を提示するとともに、その行動記録から方向を割り出し、その移動方向の変化にあわせて、写真の表示方法に効果を加えることである.右折、左折、前進、後進などにあわせて、写真の切り替え効果が付け加えられている.当然play forthだけでなく、play backも可能になっており,ユーザの追体験を効果的に支援できるようになっている.

- Sharingは、On-line上で他人と街中での体験を共有することである.
著者はこの論文で"Intersect"という共有方法を提案している.これはユーザ間の行動軌跡のなかで交わる点がある場合、互いの体験を共有できると定義している.これは個々の経験をデジタル的な方法で共有する新たな方法ではないかと述べている.

実装はgpsfredというapplication frameworkを中心に実装されている.PCと携帯電話用のインタフェースがあるが,携帯電話は主にpackaging主体のインタフェースであり、 GPSによる行動記録と写真撮影の機能を与えている.またこれらによって得られたデータは、internetを通じてデータベースへ格納される.PCは、追体験と共有用のインタフェースを持つ.画面はPackage View、Intersect ViewとPhoto Viewの3つの表示領域があり、package viewで追体験したい記録を選択し、Intersect Viewでは共有可能なpathが見えている.Photo Viewでは見ているpathを基に写真を効果をつけて表示する.

GPS tracking framework designとしてGPSを使ったアプリケーションのためのframeworkを構築し、そのmiddlewareとしてgspfredを実装した. gpsfredは携帯電話でGPS trackingを可能にするために実装されたmiddlewareで、plug-inを実装することで機能拡張も可能である.

さて意見であるが、まずは是非とも実機(デモ)を見てみたいシステムである.GPSと写真を使ったシステムは参考文献にもある通り、いくつか提案されているが、GPSによるユーザの行動をtrackして利用しているアプリケーションは確かに目新しい.ただし、その使い方があまりにも straightforwardで、それ自体にあまり驚きを感じないという感もある.またGPSによるユーザの行動をtrackingしているとあるが、どの程度の頻度で記録しているのだろうか? それとそれを携帯電話で行っているとあるが,どのように実装されているのかが非常に興味の湧く点でもある.ちなみに最後に記述があったが、gpsfred には位置の同定に一回あたりおよそ15秒かかるという問題があるらしい.論文の図から見ると携帯電話ではGPSを通じて位置情報を取得し、それをサーバに送りつけるだけのように見える.だとすると携帯電話内でなんらかのアプリケーションが動作し続け、一定間隔毎に位置を取得し、得られた位置情報を gpsfredが動いているサーバに送りつけるという処理を自動で行っているのだろうか?

Posted by z at 02:46 AM