Kenichi Yamazaki,
"Research Directions for Ubiquitous Services",
2004 International Symposium on Applications and the Internet (SAINT2004), p.12, January 2004.
IEEE Xplore
SAINT2004でkeynote(Tutorial?)になっていた論文である。著者はNTT Docomoの人である。
タイトルを直訳すると「Ubiquitous Serviceの研究とその将来」について...となると思われる。
論文の概要について書く。
UCE: (Ubiquitous computing environment)が近い将来出現するだろう。
すでにInternet上で提供されているサービスとUbiquitous Serviceとの違いは
1. サービスはしばしば物理的な条件(状況)を引き金として提供される
2. サービスはある条件が満たされた時に提供されるので,サービスはユーザの状況または実世界の状態を知っているという前提を置くことができる.
3. サービスはユーザがそれを期待していなくても提供される.なぜならばこのようなサービスはユーザの意図ではなく,システムによって自動的に提供されるからである
これらの特徴から考えられる技術的問題は以下の通り
1. 物理環境データの量は非常に多く,またそれを実時間で処理する必要がある.したがって,処理の拡張性や連続性は重要である.
2. サービスは実世界を十分理解したうえでintelligentである必要がある.これはしばしば"Context-Awareness"と呼ばれる.データ量は多く処理の実時間性も高いので人がそれらのデータを扱うのが困難なのは明らかである.したがってintelligence性が,人との対話処理なしで処理を行うことを可能にしなければならない
3. サービスは時によって人の注意を得るために妨害的な処理になるかもしれない。しかし,時によっては人の注意を引かず,処理をひっそりと自動的に行うかもしれない
以下に挙げるような,多くの技術領域における技術が必須になるだろう
1. 実世界情報を感知する手段の探求と改善:
感知,処理,無線通信のハードウェア,エネルギー消費のハードウェア技術の進歩が必要だろう.またOSやmiddlewareの進歩も必要だろう.また環境データ処理の拡張性,切断処理,効率的な資源管理,そして実時間での自律反応も必須の機能である.そのようなOSは単に既存のOSの単純化したものでは役に立たないだろう.なぜならば,求められる仕様や制約条件が既存のOSとはまったく異なるからである.
2. 実世界の理解する手段の探求と改善:
RFIDは物理世界における物体を認識可能にする技術として最有力の技術である.しかし、RFIDは単に物理物体を認識可能にするだけであって,理解にはまだほど遠いのが実情である.実世界におけるOntologyがこの問題に対する解決策になるかもしれない.他のAI関連の技術が判断と学習のために必要となるかもしれない
3. ユーザとサービスを理解する:
ユーザの注意,意図,振る舞いそして好みなどを理解する必要がある.一方で「何がサービスなんだ?(what are services?)」という大きな問題がある.サービスが何かを理解できなければ,対象とする状況でなにが最も適切なサービスなのかを決定することができない.サービスを記述するために多くの技術が提案されているが,それらが十分なものなのかどうかは我々もまだわかっていない.
さらに商用上の問題と捕らえた場合,以下の問題もある
- 既存のネットワークをどのように発展(evolve)させるか
- 顧客にどのようにして利益と安全性を確信させるか
我々は,実世界に対する"practical provision"を持ったUbiquitousサービスを考えなければならない
Posted by z at June 29, 2004 04:02 AM